一般社団法人
町と暮らしのネットワーク
street.jp
設立趣意書
【 はじめに 】
今の日本は人口の減少期を迎え、少子高齢化が急速に進んでいます。しかし、社会の制度や生活習慣は高度成長期に作られた部分がいまだに多く残っており、高齢化社会に対応できていません。

人口が増加していた高度成長期には、多数の現役世代で高齢者を支えていましたが、現在では高齢者と現役世代のバランスが大きく変わり、高齢者の介護に人手が足りない状況が慢性化しています。

その一方で、退職シニアでやることがなく孤立してしまっている人が大勢います。企業組織での行動様式が染み付いてしまっているために、地域のボランティア活動などに馴染めないというケースが多いようです。

子育て世代では共働きが多く、子どもが孤立しやすい状況になっています。学校に馴染めず不登校になってしまう子どもも多く、家庭でのストレスが問題になっています。親の介護が重なり仕事を辞めなければならないという話もよく聞きます。

かつては町の商店街が地域の人をつなぐ役割を担っていました。今ではその商店街も活気を失ってしまっていることが多く、地域のつながりが無くなってしまっている所がほとんどです。

これらの問題は、かつてより指摘され、国や行政によって解決に向けた努力もされてきましたが、良い方向に向かっているようには見えません。縦割りの制度で個別に対策を行う方法では限界があります。

しかし、地域にある要素をさまざまなレベルで組み合わせることによって、解決できる問題も多くあります。そのためには、いろいろな組み合わせを試すことができる仕組みや人々が集まって相談できる場所が必要です。

今世紀に入り、コンピュータのネットワークが発達し、現在では一人ひとりが持っているスマートフォンでさまざまな情報を入手できる時代になりました。スマートフォンの使い方を覚えようという意欲のある高齢者の方も増えています。

スマートフォンを使って地域情報を共有することにより、さまざまな問題を解決できる土壌が次第に整ってきていると言うことができると思います。

【 団体の活動 】
本団体は、スマートフォンを使って地域情報を共有し、高齢者や退職シニア、子育て中の母親、共働きの家庭の子ども、障がい者が孤立せずに安心して暮らせる地域社会を作ることを目的とします。この目的を達成するために以下のような活動を行います。
「まちのリビング」の運営
ご近所で「そこに行くと相談できる誰かがいる」居場所を作り、運営します。学校に行かない子どもや認知症の高齢者、障害のある人などの支援を通じて「おたがいさまの助け合い」を実践するための拠点を作ります。
地域イベントの企画・運営
ご近所同士で食事をしながら世間話をする「隣人祭」や高齢者向けのスマホ教室など、地域の人々が顔を合わせ、つながりを作るきっかけになるイベントを企画し運営します。
地域情報の収集と提供
地域イベントや商店街のキャンペーンなど、地域の情報を集めてチラシを作ったり、スマホ向けにネットで発信したりします。行政とも連携を図り、必要な人に必要な情報が届くようにシステムを活用します。
「人材データベース」の構築
日曜大工やネットのコンテンツ制作、車での送迎など、ちょっとしたことを頼める人のデータベースを構築します。おたがいさまの助け合いやボランティア、場合によっては仕事として発注することもできるように仕組みを作ります。退職シニアに役割を用意し、名刺を持って活動していただけるようにします。
地域SNSの構築
スマホを使ってご近所同士で情報を共有するためのSNSを構築します。情報の公開範囲を実際に知っている人に限定できるようにして、高齢者や子どもにも安心して使えるようにします。困りごとを共有し、災害があった時なども誰かが孤立してしまうことがないように日常からのご近所のつながりを作れるようにします。
自由通貨による町の活性化
地域SNSに自由通貨(現金とは交換できない仮想通貨)を組み込み、お互いさまで助け合った際の「お礼」や、商店街の店にコミュニティ端末を置いて来店ポイントとして活用します。流通量を増やすために毎日100ポイントをユーザーに無償で付与し、溜め込まれないように毎日1%ずつ減っていくように通貨を設計します。
【 事業の概要 】
地域コミュニティ事業
これまでのSNSは広告収入を収益源として運用しているものが一般的ですが、広告収入に依存するとユーザーにとって必ずしも使いやすいシステムにはなりません。本システムは会員にとって有用であることを最優先とするため、有償会員の会費を収益源として運営します。有償会員の会費を1ヶ月500円程度とし、無償会員を招待できる権限を付与します。全会員の1/10がコミュニティの価値を認めて有償会員となる状況を目指します。
地域活性事業
地域の商店街や地域の居場所に情報端末を設置し、スマホを使ったポイントカードやスタンプラリーの機能などを活用して会員との関係作りをサポートします。チラシやポスターのデザインやSNSを使ったキャンペーンなどを企画し、商店街に人が出向くきっかけを作ります。
本部と支部の役割分担
各地の有志が市区町村ごとの支部を設立し、コミュニティ作りを担います。有償会員からの会費の半額を支部の活動費に割り当て、居場所やイベントの企画・運営を行います。本部は支部の支援とSNSシステムの開発・運営を行います。
本部の損益分岐点
Facebookには「文京区だいすき」というグループがあり、2023年5月現在のメンバー6,260人となっています。文京区の人口は約20万人なので、このデータを参考に住民の3%の会員獲得を目指すこととします。全会員の10%を有償会員として見込むと600人となり、1人あたり500円の会費を集めると30万円、その1/2の15万円が本部の収益となります。本部の運転資金を150万円とすると10の支部を軌道に乗せることが損益の分岐点となります。全国には1,700余りの市区町村があり、最終的にはすべての市区町村に支部ができることを目指します。
支部の収益
各地の支部では、会員からの会費以外に、有償イベントや商店のマーケティング支援などを事業として収益を上げることができます。本部はマニュアルやテンプレートなどを用意して支部の収益事業を支援します。
余剰金の活用
本部の収益から経費を除いた余剰金はすべて地域活動のために還元することとします。各地域よりさまざまなアイデアを募り、プレゼンテーションのイベントなどを開いて会員の投票で支援先を決めるなど、地域活性化の原資として活用します。
【 事業のロードマップ 】
SNSシステムの開発
2021年よりSNSシステムの開発を行っており2023年5月現在、テストユーザー50名ほどでテストを行っています。また、コミュニティ端末を3か所に設置し、居場所共有機能のテストを行っています。機能のバグや使い方の分かりにくい点などを洗い出し、2024年4月の正式版リリースを目指します。
講習会テキストの作成
高齢者の間でスマホの使い方を覚えたいというニーズが増えてきており、高齢者にも分かりやすい形でSNSの使い方を覚えられるようなテキストを作成します。パスワードや個人情報など、セキュリティに関する知識も習得できるようにします。6月中に第1版の完成を目指します。
コミュニティ作りのワークショップ
ボランティアが高齢者向けのスマホ講習会を主催できるようにメニューを作成し、ワークショップ形式で説明会を開きます。講習会主宰者は講習者を招待できるように有償会員になっていただきます。ボランティア活動への報酬は自由通貨などを活用します。
支部開設への支援
支部開設を希望する市区町村へ本部からスタッフが出向いて説明会を開き、講習会テキストやイベント広報のテンプレートなど、必要な資材を提供します。本部では、SNS上に支部ごとにデータベースのセクションを作成し、エリアの登録を行います。
地域活性事業への支援
SNSへの発信やコミュニティ端末の設置を通じて商店街や町の居場所を活性化させるための説明会やワークショップを行い、必要な資材を提供します。コミュニティ端末の製造原価は現状で5万円ほどかかる見込みです。量産による低コスト化を目指します。
地域情報収集体制の整備
地域の行政や町会、自治会、商店会などと連携して情報を収集し、エリアやタグ(属性)を付与するなど、必要な情報が必要な人に届くように情報を整備します。情報の収集は支部で担当し、そのコストは本部より支部に支払われる活動費が充てられます。
【 基金への出資のお願い】
本事業は会員からの会費を運営資金とすることから、非営利の一般社団法人を活動の主体とします。収益が安定するまでの運営資金として基金への出資を募集します。これは一般の企業の資本金に相当します。

非営利の一般社団法人では利益を出資者で配分することはできませんが、余剰金が発生した際には理事会での協議を経て出資者に返還することができます。本事業で余剰金が発生した場合には、基金出資者への返還を優先して行うこととします。

損益分岐までどれだけの期間が必要になるか、現時点では分かりませんが、まずは設立から1年の間に必要な活動費500万円を目標に基金を募りたいと思います。

1口5万円から、お一人さま何口でもご出資いただけます。

基金を出資していただいた方には優先的に支部開設の権限を提供します。

支部を開設し、運営することにより、その支部の有償会員からの会費の1/2を支部運営費として利用することができます。

本プロジェクトは、かつて日本のどこにでもあった「おたがいさまの助け合い」の文化を取り戻し、地域の将来に希望の小さな旗を掲げるものです。

本プロジェクトにご賛同いただけるかたのご支援を心よりお待ちしております。

よろしくお願いします。
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